戦場カメラマン小僧ヨスガノ体験記録 ファイルNo.1
この話は突然はじまる
戦場の様子をカメラにおさめようと戦地に足を踏み入れた時のこと
…それは本当に偶然だった…
戦場のこの地に まさかの スクールガールだった
目を疑ったがそこには紛れも無い「戦い」があった
凛々しい表情で相手を牽制している様子だった
相手は銀髪が綺麗なスクールガールとは思えないほどの色気がある女性だった
なぜこんなところで?
どうして戦っているのか?
そんなことを考えている余裕もなく彼女たちの戦いの様子に目を奪われていた
黒髪の娘が構えた
銀髪の娘はどことなくその表情に余裕があるようにも見えた
ここは戦場である
しかし彼女たちは「戦場」の意味を理解しているのだろうか
戦場 = 戦いをしても良いところ
ではないんだぞ
辺りを見回すと戦車やヘリが彼女を取り囲んでいた
彼女たちに気を取られていた私もまた同じく取り囲まれていた
身の危険を感じた私はとっさに物陰に隠れながらも
その場の状況をこの目でしっかりと見据えていた
しっかりと見据えていた
見据えていた…
軍機の騒音で会話などはまったく聞こえない
しかし 張り詰めた空気のなか 彼女たちには ただの雑音程度にしか聞こえていないのかもしれない
銀髪の娘が仕掛けた
華麗にその身を宙に浮かせたかと思うと鋭い突きを見せた
黒髪の娘はその突きを見切った様子にも見えた
なんと 鋭い突きを寸の差でかわしながら蹴りを放った
真っ直ぐな綺麗な蹴りだった
「やるじゃないか」
そうとでも返したかのような表情だった
次の瞬間 彼女のその表情からは
「相手にとって不足はない」
目は口程にモノを言う
この時の彼女の目は そう言っていたように思えた
次に彼女は黒髪の娘に向かって何かを言ったようだった
驚いたのは その後のことだった
相手を挑発するかのようなその振るまい
突然彼女から眩い光が私の視界を奪った
閃光弾や発光弾という人工的な光とはまた違った神秘的な光だった
光で目がくらんでいる中から
薄っすらと彼女の姿が見えはじめた
いったい何が起こったというのか
私は慣れない視界のなか その状況を把握するためにも
無謀にもその光に近づいていた
いや 状況を把握するなんて理性的なものではなかったかもしれない
たんなる好奇心と探究心
「この目でそれが見たい」
そう言ったほうが素直かもしれない
光の中の彼女に何が起こったのかわからい
だけど 考えるよりも早く 私の感情は動いていた
「美しい・・・」
「なんて綺麗なんだ」
一瞬の出来事ではあったけれど この瞬間はとても長く思えた
彼女の姿は一変していた
いったいどんなことをすればこんなことになるのだろうか
人間兵器とでも言えばよいのか
いや もっと相応しい呼び方があるに違いないが
この瞬間にはそこまで気の利いた呼び方は思いつかなかった
「あら 驚かしちゃったかしら」
とでも言っているかのような表情だった
いまだに何が起こったのかわからない
わからないことは考えればわかるかもしれないが
知らないことはいくら考えても出てこない
これは現代の「科学」のチカラなのか?
私はこの場ではこの現状を「変身」として理解するしかなかった・・・
続く