戦場カメラマン小僧ヨスガノ体験記録 ファイルNo.2 の続き
・・武装解除・・・?
変身はずっと続くわけではないのか・・・?
そりゃそうか
戦隊物やアニメでも「変身」なんてものは
限られた時間のなかで許されるものなのがセオリーだろう
だったら黒髪の彼女にも勝機はあるはず!
「勝ってほしい」
ん? いや
「負けないでほしい」
違うな…
「エンターテイメントであってほしい」
「DEAD OR ALIVE」とか言う
格闘エンターテイメントであってほしい
「生きるか死ぬか」の戦いなんてしてほしくない
「彼女たちの残酷な結末を見たくない」
これが本音か・・・
しかし
2人の戦いは激しさを増し
ヘタレな私は逃げ出したい恐怖心と
見ていたい好奇心が戦っているだけだった・・・
私としたことが
動揺と不安で思う様に写真が撮れていない
カメラマン小僧「ヨスガノ」
ローアングラー「ヨスガノ」
パンティー×ハンター「ヨスガノ」
そう呼ばれていた自分を奮い立たせた
「もう 迷わない」
呼吸を整えカメラを構え直す
私はありのままを写真に「残す」ことに覚悟を決めた
気合を入れなおし彼女たちに再びカメラを向けた
蛇拳が黒髪の彼女の喉元に襲いかかる
カウンターで決まったからだろうか 小柄な黒髪の彼女の体は
少し浮いたようにも見えた
チャンスとばかりに蹴りが飛んでくる
背後には上空を飛び回っていたヘリが墜落してくる!?
最悪のタイミング・・・
あろうことか蹴り飛ばされた黒髪の彼女が
ヘリの墜落に巻き込まれる事態となった
その一部始終を私のカメラは捉えていた
「オーマイガー!」
声に出ていたかどうかわからないがそう叫んでいた気がする
目の前で起こる光景に私の心は震えていたが
覚悟を決めた私のカメラはブレていなかった
銀髪の彼女から再び閃光が走る
「おい まさか・・・」
「マジか・・・」
再び変身した彼女
どうやらキメにいくつもりなのか・・
銀髪の彼女からは
私のような「迷い」や「躊躇」など 微塵にも感じられなかった
ソコには 命令とあらば「平気」で殺しにかかる「コロシヤ」がいた
ソレは もはや「ココロ」を持たない「兵器」にしか見えなかった
猛烈な打撃を繰り出していく銀髪の彼女
この目・・・彼女は本気のようだ
トドメとも言える最後の一撃が黒髪の彼女を死の淵に追いやる
「ドカーンッ」
大きな爆発から数秒後
無残な光景をカメラが捉えた・・・
爆発で吹き飛ばされ 地面に倒れた黒髪の彼女を
私は私のカメラが捉えている目の前の「事実」を受け入れ
不思議と冷静にその「現実」を心で受け止めることができた
残酷すぎる戦いは幕を閉じた
アッという間に終わったと言うべきか
アッケなく終わったと言うべきなのか
黒髪の彼女の「敗北」(死亡)で勝負はついた
次は私の番か・・・
私が戦う順番がきたと言うことではなく
私が殺される番がきたというだけのこと
続く